(42)物流の2024年問題だからと言って

物流の2024年問題とか、ホワイト物流等への取り組みとか、これも世の流れなのだろうが、しかしどうだろう?

EPSONさんは、ホワイト物流等への取り組みの一環としてリードタイムを1日増やしたのだが、そのためのしわ寄せをひっ被ったのは寝耳に水のエンドユーザーである。

具体的には、エンドユーザーにとってはインクカートリッジなどの消耗品の到着が以前より少なくとも1日遅くなってしまうのはもちろん、発注した消耗品がEPSONさんの物流センターの在庫に引き当てられたかの情報がタイムリーに得られないので、エンドユーザー側にとっては荷物を受け取る日時の調整ができず毎回ヤキモキすることになったのである。

大型インクジェットプリンタの発売当時、EPSONさんの営業担当者からは、最後発にサイン業界などに市場参入する訳だから、最高のものを投入するため大型インクジェットプリンタの他社機の実態を念入りに調査し満を持し市場投入した経緯があるとの説明を聞いた。実際にプリンタの印刷スピードや印刷結果の色味、操作性など市場に高く評価され受け入れられた。

加えて、インクカートリッジの容量も価格設定も供給体制もすべてエンドユーザーに対して在庫を置かなくても間に合うという好印象を与える説明だった。実際これまでは、午前中に発注したら翌日には届く素晴らしい物流が機能していたのである。これまではまったく心配することはなかった。

そういう謳い文句だったはずである。それがどうであろう。エンドユーザーは、うっかりすればインク切れで仕事がストップすることを避けるため、インクカートリッジの余計な在庫を持たなくてはならなくなってしまったし、そういうことができないところはインク残量に神経をすり減らす日々である。

発注してからも荷物の追跡番号が必要なぐらい心配なのに、それにも応じられないというし、そもそも在庫に引き当てられたのかすら、即時回答できないのだという。荷物を受け取るのが週末にかかる微妙なタイミングだと、土曜日に荷物を受け取れるかをあらかじめ確認しなければならなくなった。

こんなことでいいのだろうか。2024年問題という大義があったにせよ少なくともエンドユーザーに迷惑を掛けないことが前提でなければならないはずである。これはあまりにも一方的過ぎやしないだろうか。一体だれが決めているのか、すべて分かった上でのことなのだろうか。全部エンドユーザーにしわ寄せがいっているではないか。

 

これに対し、最近、ミマキエンジニアリングさんは、これまでは長野県から出荷していたのを、在庫の調整をしやすくするためなのか全国的な在庫の中から、例えば鹿児島からの注文分を北関東の支社や東京支社の在庫からも引き当てて出荷するようになった。これによる着荷の実質的な遅れは今のところない。もし、これが物流の2024年問題とか、ホワイト物流等への取り組みの一貫なのであれば、サイン業界の実情を理解した上で文句のつけようのない成功例と言える。