(53)OneDriveとOutlookの関係はどうなるのかな?

マイクロソフトが提供する製品やサービスは、行き当たりばったりな感じがする。

もしそうだとしても、作る側のマイクロソフトも商売だし、使う側は開発側が用意している条文に謳ってあるなにがしかの制約を承諾したことになっているのだろうから、それを承知の上で、急な方向転換や仕様変更に甘んじるしか仕方がないのだけれど。

例えば、歴史的には永久ライセンスだけのOffice製品だったものが、Microsoftアカウントへの紐づけが必要なものや、サブスクリプションの「Office365」という製品が登場し、そして、さらに「Microsoft365」の登場となった。

その経緯についてはおそらく、新型コロナがとてつもない影響を及ぼしたのではないだろうか、と筆者は考える。

ウィズコロナからアフターコロナと、特に大企業、中小企業にあっては、本格的に社員同士がパソコンの画面での会議やチャットなどで会話ができ、スケジュールやファイル編集を共有することができるようにしなければならなくなったが、マイクロソフトはコロナ前からその分野でも出遅れていたようだった。

例えばGoogle社が始めた無料のWeb上のアカウントサービスはMicrosoft社より先行して提供を始めたので、Microsoft社にとって脅威だったはずである。Microsoft社も負けないように追随して遅れを取り戻そうとしてきたようだし、むしろできればどこよりも先に優れたサービスを提供しようと努力しているのかもしれない。

しかし、そんなサービスを提供する側の競争はどんどん激しさを増しているものの、そんなことに気を向ける余裕などない、システム担当者のいない零細弱小、あるいは個人のユーザーはなかなかついていけなかった。Microsoft側からの各商品やサービスについての説明がどこにあるのか探し当てることが難しいこともさることながら、見つけたとしてもその表現が文法的に間違っていたり、専門用語(外国語)だらけの、たとえシステム担当者であっても難解な表現ばかりで、はじめから素人を排除してしまっていたようにも感じるほどのものだったりする。だから素人は、いろんなリスクを負ってでも、簡単に理解できて手っ取り早く手に入る手段(LINEとか)を選択して来たのだと思う。

Microsoftは、新製品やサービスの提供が自分の敗北が故の方向転換であることを敢えて発表しないので、Microsoftが提供する商品やサービスが競争にさらされた結果の紆余曲折を辿った故の、まだまだどうなるか分からない不安要素を含んでいる製品でありサービスなのであるという負の面が見えてこないのである。

つまり、新しい機能やサービスにおいて、競争相手よりもいち早くより良いものを目指そうとするし、だからこそ急な作戦変更がとられて状況がより複雑になってしまっているようである。ベータ版を出して市場の様子を見たり、セキュリティーの分野で急な対応に追われたりとか、どうすることもできないくらい複雑に絡みに絡んでしまい、とにかくマイクロソフトは、正確で優しい表現の情報を提供する努力がなされなかったというか、できなかったのである。そもそもいろんなドキュメントを日本語化すること自体、昔から不得手だったのではないだろうか。

なのに、Microsoftは敢えてそこを伏せた上で、あたかも表面的には自信ありげな表現しか使わないので、ある意味ユーザーを遠ざけているのである。

 

一例として、現状、Outlookのパソコン版、Web版Outlook、Windows11の「メール」、そして最終的に「新しいOutlook」と複雑多岐にわたってきた製品群を最新の技術で一本化したいという思惑があるようである。

インターネット上にそれらに関する情報が存在するけど、そこに使われている用語、例えば「アプリ」とか表現されても「アプリ」の定義がスマホのアプリ的な意味合いのものなのかパソコンにインストールするアプリケーションソフトのことなのか、実にあいまいに使われているだとか、そもそも「てにをは」が抜けていていい加減な表現なため情報そのものが信用できないものもある。

OneDriveにしてもOutlookの運用ファイルのバックアップが絡んでくるので、サブスクの有料ユーザーに誘い込もうという魂胆が見え見えである。

将来にわたって必要のないユーザーまで有料サブスクに引っ張り込もうとしているのは独占禁止法に抵触しないのかギリギリの線を行っているようである。

筆者はすでに3、4件ほどOutlookの運用ファイルをOneDriveから取り戻す難解な作業に取り組んだ経験がある。その間、OneDriveの仕様が変わり情報がなく本当に大変だった。

そのユーザーたちは揃って、案内されるがままに操作したらOneDriveに取り込まれていたと証言した。

だからWindows11のパソコンに対しては、まず、OneDriveアプリをアンインストールしてしまう作業をいの一番に行うようにしている。

Microsoftの従業員は、まるで洗脳されているのかのように、OneDriveのバックアップがセキュリティー上、この上ない正しい選択だと信じ切っているのだろうか。そうでないというのなら素人を騙してOneDriveに誘い込む仕掛けを作っている現実をどう説明するのだろう。さらなる、ユーザーを遠ざけてしまうニュースになりそうな気がする。