2024年3月7日、あるユーザーからどうやらマイクロソフトを騙るサポート詐欺に遭ったので助けてほしい、との連絡をいただいたことがあった。ご自宅のパソコンで奥様がインターネットを見ている最中に、突然警告が表示されて何もできない状態になり、表示された電話番号に電話したら、若そうな優しめな男性の声で、いかにも外国なまりのある日本語で、その言われるまま操作したり、コンビニに3万円分のプリペイドカードを2度も購入しに走らされ、その留守の間にリモートで何をされたか不安だというのである。
筆者のサポート先で、この手のサポート詐欺にウタって(鹿児島弁でまんまと引っかかったという意味)実害の出た初めてのケースである。それまでも、突然大音量が鳴り出したからどうすればいいか慌てて筆者に電話してきたユーザーは2件あったにはあったが、近所迷惑になるくらいあまりにも音がうるさすぎて、まずはその音を止めないといけないという行動が先立ち、幸いにいずれも表示された電話番号に架電しなかったので実害はなかったのであるが、この音が出ないケースでは、電話してしまい30,000円×2回の60,000円という実害が出たのである。このケースの場合、敵もさるもので、意図的にその出現の仕組みのバージョンを上げたのか知らないが、それまでのセオリーでは大音量を出して、とにかく偽サポート先に電話させようという意図があったのだろうけれど、敢えて音を出さなくして、その分慌てさせずに落ち着いてどうすればいいかの判断を冷静に考える時間を与え、画面の表示をじっくり読ませること、つまり表示している偽のサポート先の電話番号に架電させ、詐欺に誘導することができたのであり、その心理を突いた悪知恵には恐れ入るばかりなのである。
確認したら、このユーザーのパソコンでは、ネットバンキングなどしてはいなかったし、クレジットカードでの決済もしたことがないとのことだったが、それでも念のため、取引銀行とクレジットカード会社に連絡して確認するように説明した。
また、リモートなどで何をされたか分からない、とてもそのまま使って良いはずのない恐ろしい状態になっている可能性があるので、かねてAcronisTrueImageのイメージバックアップを毎日とるようにしていたので、前日の状態に戻す復元作業を行った。マイクロソフトのOneDriveのバックアップでは絶対に対処できない復元作業が小一時間で復旧できたのである。
あれ以来、2年経過した2026年6月現在、世間ではいまだにこの手のサポート詐欺の被害が後を絶たずにいる。被害額は増大の一途である。かれこれこの無法状態のまま何年放置され続けてきたのか。立法府を担う国会議員たちはいったい何をやって来たのか。警察は何をやっているのか。本気になってこの問題に取り組んでいるのか。取り組まないといけないと思いつきもしないレベルなのか。この問題の責任者はいったい誰なのか。政治家のほとんどは、何のことやら分りもせず他人事なのだろうか。今のところ票田に関係しなさそうだから見向きもしないのだろうか。
ブラウザ提供各社マイクロソフトやグーグル、アップルなどや、プラットフォームをはじめ各接続業者にこの手のサポート詐欺が出現しないように義務化すればいいだけの話である。その広告が本当に本物の広告なのか審査し、審査後はその広告の内容を変更できなくするとか、広告の表現や中身を変えたいときは新しく作り、改めて申請し審査を受け直させて、勝手に内容を変えられなくするべきなのだ。つまり、プラットフォームのWeb広告の受付の段階で法律で責任を負わして裏を取ればいいのだ。テレビなどの広告では、厳しい事前審査が当たり前のことなのに、Web広告では無法状態なだけなのである。
いまやAIは、セキュリティの脆弱な部分を正確に指摘することもでき、このAIを逆に犯罪に利用されてしまったら、とてつもない脅威にもなるらしい。
つまり本来AIは、この手の広告詐欺を完全に防ぐ能力はお手の物であるのだけれど、なぜかそれをすることが法律的にできないとAIは申し訳なさそうに答える。まともな広告と、詐欺の広告を正確に区別できないし、できたとしてもすぐに別の形で仕組んでくるからいたちごっこになり、出現阻止はもちろん、事前に探知し検出通知を出すことも無理だというのである。何とも体のいい言い逃れに過ぎない。
これはネットを使う側のリテラシーが低いから仕方ないで済む問題なのか。無知で不勉強な人は泣き寝入れというのか。どんどん実害が出ているのだから、そんな悠長なことは言っていられない事態である。
この問題の原因は、Web広告のあり方について無法のまま放置しているからであり、広告の出所の審査において、国際包囲網を含む法律の整備さえすれば完全に阻止できるのである。この問題が票に直結していると政治家に気付かせないと目が覚めないのだ。今提起しないでいる政治家はもちろん、法律を作ろうとしないマニフェストに無策な政治家は当選させても役に立たないのである。
このWeb広告の闇の部分をお金にすると莫大な利権である。この業界の責任を問わず、わざと知らないふりをして法律の整備に無頓着を決めている政治家がいるのかもしれない。