(48)一度は諦めたHDDのデータ復元に成功!

2024年2月、あるお客様から導入以来9年目のパソコンの調子がおかしいので見てほしいというサポート要請があった。

お客様立会いの下、「CrystalDiskInfo」というユーティリティソフトで診断し、カレントドライブ(120GB のSSD)は正常だけれど、セカンドドライブである内蔵HDD(1TB)が黄色で「注意」という結果が出て、不良セクターも検出されていたので、パソコンの内蔵HDDの方に障害があるけど、一応Windows10が起動できているのでデータの取り出しが可能な状況であると判断し、データの取り出しや内蔵HDDの交換を実施する予定としパソコン本体ごと預かることとした。

 

しかしながら、持ち帰って最初の電源投入で、なぜか起動時にグルグルが出て何度か再起動するうちに修復をするよう促す画面になりいろいろ試すうちにグルグルが止まず、放っておくしかなく、いつの間にか電源が落ちてしまうようになってしまった。このパソコンは、カレントドライブ(Cドライブ)の容量が小さかったので導入当初からユーザーファイル(デスクトップ、ドキュメント、ピクチャ、ビデオ、ミュージック)の保存場所を、今回障害が起きた方のセカンドドライブ内(Eドライブ)に設定変更していたので、そのドライブが障害を起こしたため、正常起動が出来なくなったと思われる。

そこでそのセカンドドライブの内蔵HDDを取り外しUSB接続で別の正常なパソコンに接続したが、エクスプローラーでは内蔵HDDそのものは認識するものの、「デバイスの準備ができていません」と出て中のデータを見ることはできなかった。その時点で当該内蔵HDDからかすかな異音も確認できた。

以上のことから、保存されているデータを取り出すことができない状況であると判断しエンドユーザにはその旨報告した。数年分の3名分の大切な見積やメールメッセージのデータである。とても申し訳なく悔しく敗北感この上ない気持ちでの報告となった。

 

こういう物理的な障害のケースの場合、とても高額(数万円から十数万円)ではあるがデータ復旧の専門業者に依頼して、特殊な設備の中で行われる作業で、HDDのケースを開けて中の円盤状のディスクを取り出して直接データを取り出すサービスがあり、過去の筆者の経験では17万円かかったケースがあったことも言い添えた。ユーザーからは、そんな高額な料金であればと、諦めのお言葉が返ってきた。

 

その後、筆者としても生業としている意地とでもいうべきか手元で何とかデータだけでも復旧できないかインターネットで調べまくった。するとデュプリケイト機能付きの装置「ロジテック社製のデュプリケーターLHR-2BDPU3」を使って、物理障害の無いHDDに丸ごと複写(クローン作成)してデータ取り出しに成功した事例が見つかったのである。

 

上記のデュプリケイト機能付きの装置は手元にあったので、それから数日かけて実行したのだが、最初の4分の一の実行エリアで不良セクターの検出があり、丸1日ほどかかり、残りの4分の三にあたる実行エリアでは1日半ほどかかり、不良セクターの検出はなかった。最初の4分の一の時に青ランプが高速点滅したままの時は、説明書を読みながらやはりダメかなと諦めかけたほど待たされ心細かった。辛抱強く待つしかないと信じ、次の4分の一のエリアのランプがゆっくりと点滅し始めたときはかなりの成功の確証を得た気持ちになったのである。そしてついにクローン作業が完了したランプの状態になったのは作業を始めて3日が経過していたのである。

その後、復元したファイルを更に別の正常な適量の容量のHDDにコピーし、元のパソコンに装着しただけで正常起動したのである。

長時間掛かるからこそ、このデュプリケイト機能付きの装置「ロジテック社製  デュプリケーターLHR-2BDPU3」に添付されていた説明書の不親切さを感じた。もっと実行時の経過時間とかの目安や、クローン作業が完了したときの終わらせ方について機器の操作など詳しく説明があればなあと感じた。