(46)今、世間で騒がれている「政治資金パーティー」と聞くと思い出す。

筆者は大学卒業後、福岡の大きな宴会場に就職した。1980年から6年余りの間働いた。その頃は政治家が絡む宴会は多かった。大なり小なり政治家が絡んだものはそれこそ顧客としてVIP扱いとされていた。大きなものでは座敷の大広間に3~400人の盛大なものだった。一人単価は基本的には飲み物別で2,500円、3,000円、3,500円、4,000円、5,000円・・・(上には上の数万円の高額なコースもあり)などと小刻みに設定されていたコース料理のなかで、3~4,000円程度のコースが主流だったと記憶している。

誰の主催のとか、どの党の主催とか細かいことは記憶にないが、とにかく自民党系が多かった。自民党以外も、当時の社会党のある国会議員の宴会も盛大でいわゆるVIPだった。

それら宴会での来場者の顔触れはつながりのある国会議員、県議会議員、市議会議員と地元の有力者や有権者たちであったことは言うまでもなく、その各議員先生や秘書や地元有力者はおのずとVIP扱いとなり飲み物の銘柄や料理の好みや利用履歴など顧客台帳に記録し特別な接客に努めようという流れだった。特段に記憶にあるのは、ある国会議員の先生には、必ずタコの吸盤だけの小鉢(珍味)を出すこととか。

しかし、年々だんだんとその規模(収容人数)は大きくなる反面、立食での洋間が使われるようになるのだが、設定されているコース料理より低くするために何品か間引きしたり、それに掛け合わす予算人数はその実際の来客数を大きく下回るようになっていった。飲み物も乾杯ができる程度の全体数が決まっていて、つまりケチ臭くなり全然儲からなくなっていったのである。

このころのパーティー券が仮に1枚20,000円だとしたら相当な規模の裏金が作られていたのかもしれない。